オランダ出身、パリを拠点に活動するフォトグラファー、ウィンター・ヴァンデンブリンク（Winter Vandenbrink）の作品集。 2024年に500部限定で刊行され早々に完売した、ヨーロッパの若者を写した400ページにおよぶ写真集『VANDALS』の続編であるフォトジン。 本書は一人の青年「トビー（TOBY）」に光を当てており、作者の最近の被写体の中でも特に際立つ存在であり、少年でありながら、その振る舞いと同じくらい自由気ままなスタイルの感覚を持つ男性である。 トビーは正真正銘、唯一無二の存在である。二人は信頼関係を築き、数年にわたって作者はトビーを撮影し、その気難しい性格が描く複雑なポートレイトを生んだ。 トビーはまるで、デンマーク人俳優であるマッツ・ミケルセン（Mads Mikkelsen）が映画『プッシャー（原題：Pusher）』で演じたトニーという役のような人物であった。 ピリピリしていて気まぐれだが、トビーという存在だけはリアルである。本作は、フィクションでは無い。フォトジンには70枚の写真が収録されている。そのうちの1枚を見れば、トビーが特別な存在であり、この本が特別なものであることがわかるだろう。